イギリスのRSPCAのこと1(いぬ編)
昨年の秋に見学に訪れた、イギリスの王立動物虐待防止協会「RSPCA サウスリッジ・アニマルセンター」のことをまとめました。
写真も多く、長くなってしまいそうなので数回に分けて、今回は1〜3までを書かせていただこうと思います。
- RSPCAについて
- センターの様子
- 犬舎の様子
- 猫舎の様子
- 小動物舎の様子
- 馬、ブタ、鳥の様子
- 準備室の様子
- 訪問して感じたこと
1. RSPCAについて
RSPCA(The Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animalsの略)は、動物福祉を推進するために設立された英国王立動物虐待防止協会のことで、世界最大最古の動物福祉協会といわれています。名前のイメージから固くてちょっと怖い印象を受けてしまいそうですが、家族のいない保護動物のお世話をしながら里親を探したり、虐待を受けている動物や野生動物を救助したり、動物福祉に関する法を執行したりしている協会です。
使命として、動物虐待を防止し、動物への優しさを持つ、動物の苦しみをやわらげる社会作りを目指しています。
また、インスペクターと呼ばれる6ヶ月に渡る厳しいトレーニングを終了した動物査察官が、通報を受けたペットの虐待や野生動物のケガなどを査察し、指導やレスキューの対応をしています。
RSPCAの組織は、20の専門的な部門で構成される本部、187の支部、24時間体制の病院が4施設、一般外来のみ受付けている診療所が48施設、野生動物を専門に診察する野生病院が3施設、アニマルセンター(シェルター)が52施設、飼育動物の相談に応じるアニマルウェルフェアーセンターが10施設あります。
今回はこの中のサウスリッジ・アニマルセンターに見学に行ってきました。
NPO法人Knotsさんの記事、bullioさんの記事にもRSPCAのことについてとても分かりやすく書かれていますので、RSPCAの活動について詳しくお知りになりたい方は是非お読みになってみて下さい。
2. センターの様子
サウスリッジ・アニマルセンターまではロンドン中心部から地下鉄とバスを乗り継いで約80分。RSPCAサウスリッジ・アニマルセンターは、とてものどかな広大な敷地の中にありました。
毎週水曜日が定休日。
オープンしている時間は11:00〜16:15までです。(2018年現在)
これは、インスペクター達が使用する車です。
インスペクターはとても人気のある仕事で、24人の募集枠に9千人の応募があったそうです。
訪れたのは平日14時頃でしたが、里親希望者さんらしき車も何台か停まっていました。
センターの入り口です。
矢印の方向に行くとRSPCAのカフェもあるそうですが、時間がなく、今回は行くことができませんでした。
センターを入ってすぐに受付があるので、中にいたスタッフの方に「東京のアニマルシェルターでボランティアをしている者です。センターを見学させて下さい。」と伝えると、笑顔で「ゆっくり自由に見学して下さい。」と言われました。
特に事前予約なく訪問しましたが、見学だけなら何も記入したりせずに、すんなり入れていただけました。
入り口横にいた、かわいい猫ちゃん達に2ポンド寄付して入場します。
一家族につき2ポンド寄付することになっているようです。
一家族につき2ポンド寄付することになっているようです。
入場する際の注意事項の看板です。
「お子様から目を離さないで下さい。」
「わんちゃんは必ずリードに繋いで、犬舎内に入れないで下さい。」など。
3. 犬舎の様子
この様な建物が3〜4棟あり、中に大きな犬舎が7部屋程ありました。
このように高い柵で厳重に管理されている建物もありましたが、ここも戸締りさえきちんとすれば自由に中に入れます。
笑顔の写真が、とってもかわいいね。
そしてお部屋が広くて羨ましいな。
どの犬舎にもブランケットやオモチャが入っていて、犬達が好きな時に遊べるようになっていました。
でも中綿は食べちゃだめですよ。
全ての犬舎の真ん中に小さなトンネルがあって、2つの広い部屋を行き来できるようになっています。
季節や時間によって日当たりも変わるので、好きな方の部屋に行けるようになってるのかな。
そっちのお部屋は日当たり良くて、とっても気持ち良さそうね。
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犬舎内はとても清潔に保たれていて、匂いなども全くありませんでした。
これだけの頭数がいて、犬舎も広いので、お掃除はとても大変だと思います…。
従業員さんなのか、ボランティアさんなのかはわかりませんが、この日、私が見かけたスタッフさんは約8名程。
みなさん、テキパキとお仕事をこなしていらっしゃいました。
犬舎には、それぞれの犬について譲渡に必要な情報が記載された紹介カードが貼られています。
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名前は、ウィンストン。
3歳のブルテリアで、去勢済みの男の子。
トレーニングのクラスを受講する必要があります。
大人だけのご家庭で、お留守番のない、ひとりっ子でいられるおうちを希望します。
オモチャで遊ぶのが大好き!
いつでも、あなたのおうちに行く準備ができてます。
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里親希望の方は、まず紹介カードを読んで、気になる子がいる場合は詳しく説明するのでスタッフに声をかけて下さいね、というシステムです。
この日も里親希望のカップルや家族連れのグループが何組かいて、入念に紹介カードを読んでいました。
おめでとう!
キミは、お申込みが入ったんだね。
どうか、うまくいきますように。
こんな風に「I am Reserved」となっている子達が数頭いました。
私が訪問したサウスリッジ・アニマルセンターには老犬や病気の犬はいなくて、唯一いたのがアレルギーと思われるこの子だけでした。
痒いのかな…痛いのかな…。
痒いのも痛いのもなくなりますように。
センターには、スタッフさんの手描きの動物達についてのコメントやポップもあり、そこにはユーモアと愛情が溢れていて、とてもあたたかい気持ちになれたのでした。
広いドッグランで自由にお散歩してた子。
多分、お散歩やお世話が終わった子を順番に入れているのではないかと思います。
センター内の歩道をスタッフさんと一緒にお散歩していた子。
脱走防止の為、しっかりダブルリード。
センターは広いし、どこも清潔に保たれてゴミなど落ちていないので、とてもお散歩がしやすそうでした。
写真だと伝わりにくいですが、熊のように大きな子もいました。
レオンベルガーかな?
すごい吠える子で、離れていても威嚇されまくってちょっと怖かったけど、スタッフさんにはかわいく甘えていました。
この子に関しては紹介カードがなかったので、まだトレーニング中で譲渡の対象にはなっていないのかも知れません。
やさしいスタッフさんと一緒にトレーニングがんばろうね。
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RSPCAサウスリッジ・アニマルセンターにいた犬達は、犬種ではブル系、テリア系の中型〜大型犬が多く、年齢は3〜5歳位の若い子が多かったように思います。(私が見た最高齢の犬は9歳でした。)
欧米では安楽死も多いと聞きますし、ここには老犬や病気の子はいなかったのが気になっているので、次回また訪問した時にその辺りのことを伺ってみたいと思っています。
1時間しか滞在できなかったRSPCAですが、想像以上にとても素晴らしい施設で、勉強にも刺激にもなりました。
道に迷って大変だったけど、行ってよかったです。
次回は「4. 猫舎の様子」からです。